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葉月の第二の場所

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(本編)チュリグの新生物

 

「……………あのレイオクトとやり合ってるの?………えー………」

 

玉座でひとまず回復したハサマ王は信じられないとまでは思っていないものの

かなり衝撃を受けており余程好戦的な子なんだなと嘆息する。

 

レイオクトは極彩色の蛸で出現率が低く基本的には温厚だ。

鑑賞する分には問題なく見かけたらその一日は幸運と言われる。

 

ただし敵意を見せたりうっかり船でもぶつけてしまったら最後豹変し

 圧倒的な筋力を持って相手を滅してしまいそのことからチュリグの生物の中でも特に危険視されている。

 

食用にもなり一時期とある国でレイオクトを使った料理が話題になったがそれは割愛しておこう。

 

「はい………見物の方がいましたので……避難させておきました………」

 

グリムも嘆息しながら避難の旨を伝えた。

 

見物がチュリグ人で遠くからとはいえ危険性がまだ分からない以上何かしらの惨事になる前に止めたのである。

 

「………どんな見た目の子なの?」

 

外見によって少しは情報が分かるかもしれないとの希望的観測でハサマ王は質問した。

 

「紫系統の蛇のような魚といったところでしょうか毒々しかったです。極彩のレイオクトと合わさり色彩の暴力で目が疲れました。」

 

蛇のような魚ということは細長い体軀のもので翼の類はなさそうだとハサマ王は安堵した。

 

そして思い出したように一人の少女の名を挙げる。

 

「ねえ。ところでクロマちゃんは?呼んだら来るかな………」

 

元旅人の彼女はチュリグ全域の魔物を統括しているといっても過言ではない。

 

何種類ものの複雑怪奇な生態を覚え的確に選び取り得る頭脳に生まれ持っての魔物に対するカリスマ

それに飴(が多め)と鞭(物理)の両立で飼っている魔物達に崇拝されている人間だ。

 

「新種と聞いて既に現場入りしました。」

 

…………ただし突然変異や新種の生物のこととなるとハイテンションで現場に向かい手懐けてから帰って来るのだが。

 

その点については年相応である。

 

「……………………………やっぱり?」

 

「はい。さすがに現在は機を伺っておりますが。」

 

だがそんな怪獣大戦争へ迂闊に飛び込んだら彼女といえど危険なのは本人が一番分かっているだろう。

 

ハサマ王も飛んで現場に向かおうとしたが有翼人のパイルドライバーによる怪我が響いて鮮やかに転んだ。

 

「二重に痛い…………」

 

起き上がると目の前に黒い空間が存在している。

 

亀裂ではなくブラックホール的な外見なのでグリムのものだ。

 

「…………それでクロマのところに行けると思います。私は適当に見回りさせていただきますので。」

 

「ありがと」

 

「礼には及びません」

 

ハサマ王は空間を通りグリムはそれを確認してから引っ込め別の地点へのものを出現させるとそれに入っていった。

 

別の地点というのは他国ではなくチュリグの浜辺の近くにある密林である。

 

巨大ウミウシの出没地の所の。

 

「もうクロマちゃん一人で何してんのー」

 

「………王、いやー申し訳ありません。」

 

亜空間から現れ海面に降り立った国王に驚きつつも口角を上げながら詫びるクロマ。

 

そして目の前では今まさにレイオクトと新種生物による凄まじい戦闘が繰り広げられている。

 

こちらには欠片の意識も向けていなく奇襲には絶好のチャンスといえるだろう。

 

「どうしたらこっちに気づいてくれるかな?やっぱりゲイボルグ

 

「この海ごと蒸発させるつもりで?」

 

「あはは、冗談だよクロマちゃん。ところであれ魔物だよね?」

 

「そうですね」

 

「気を引いたついでに飛ばしとくから後はよろしく」

 

「分かりました」

 

ハサマ王は空中に横向きの雷を大量発生させることにより両者の意識を逸らして隙を作った。

 

クロマはというとそれなりに上手く風に乗って上昇し太陽を背にすることで姿を見えるのを妨害して

 

空中で回転を決めながら魔物特攻仕様の乗馬鞭が見事新種の眼に炸裂した。

 

悶絶をしてから気絶しているが声をあげなかった辺り元から発声が出来ないようだ。

 

 

粘膜により苦戦していたがクロマが騎乗しているレヴァイオスに引っ張ってもらうことでグリム島にある彼女の屋敷周辺の海まで連れて行き

 

レイオクトはというと機嫌を直すとまではいかなかったが巣穴の方向へ自力で戻っていった。

 

 

その頃背広に着替えたグリムは浜辺近くの森へ気晴らしとばかりに見回りに来ていた。

 

ここにも新種の生物が来ているかもしれないという思考がよぎったためだ。

 

群れをなして行動し襲ってこないため無害かと思ったら

食用にすると全身の穴から火が吹き出して周りを焼いた後死ぬ可能性のある紅の蟻

 

その蟻しか食べずチュリグ内の全生物最高峰の熱耐性を持った複数の頭部を持つアリクイ

 

 一定数集合すると眩い光を放った後一体化して巨体で反撃にかかるサワガニシリーズ

 

そして肉棘を撃てば樹や岩を余裕で貫通し物理的な攻撃をほぼ無力化し周りの生物を取り込む巨大ウミウシ

 

既に脅威にしかなり得なさそうなのが闊歩している魔境に新たな生物となると早急に生態を調べなければいけない。

 

 と思いながら警戒を強めていたグリムの頭上へと生物が飛来してくる寸前に素早く掴みとられた。

 

てのひらサイズの半透明で小さなウミウシ

青と淡い緑のコントラストが綺麗で植物の蔓めいた模様を作り出しており

もしも展示されているとしたらそれを見た人に喜ばれるものだろう。

 

そんなウミウシだが辺りを覆い尽くすグリムの殺気に怯えている。

 

アスラーンとはいえ警戒しすぎにも程というものがあると思うのだがどうだろう。

 

そこの今にも襲いかかりそうだった突然変異のウミウシまであてられている。

 

案の定グリムに気付かれて突然変異ウミウシは空間に入れられついでに彼女達も入っていった。

 

 「やあグリムちゃんお帰り!!」

 

「ただいま戻りました、クロマの屋敷ですがね。」

 

「それで家主はどこに行きましたか我が王?」

 

「さっき来たでかいウミウシと蛇魚と仲良くしてるよ!」

 

「ところでその子可愛いし見たことないから後で見せようか!」

 

「今回は名前付けるの早いですね我が王。」

 

「レイオクトが外傷以外元気なあたり毒はないみたいだしちょっと協力して目を見えなくしたけど動きは特に変わってないんだ!!」

 

「なくてよかったですね。名前は蛇魚でいいのですか?」

 

「うん!!」

 

「ではそのように」

 

重要なやりとりを軽い気分でする国王とその代理。

 そこにクロマがのんびりと歩いて戻ってきた。

 

「王様、蛇魚のことだけど警備は周りが危ないと思うから番人にして後動きが冴えてるのとレヴァイオスとタイマン張ってる………」

 

 グリムの手のひらのウミウシを確認した瞬間目の大きさを変え詰め寄る。

 

「ねえグリムなにそのウミウシ新種!?可愛い!!ちょっと見せて!」

 

「どうぞ」

 

こうなったクロマはハサマ王でないと止まってくれないので大人しく任せるのがいい。

 

 といっても念のため二人も同行することになったのだが。

 

水槽に入れて団子状の肉を与えられると変形し肉を八つ裂きにしてから食したので一同はとても驚いていた。

 

なるほど植物の蔓めいた模様は触手だったというわけか。

 

 

蛇魚

好戦的な性格をしている蛇のような体躯の無毒の魚(ウツボ)

巣穴から積極的に出てきたり奇襲を仕掛けてきたり

非常にでかいこと以外はたいしてこちらのと変わりない

クロマの屋敷付近の番人をしながらレヴァイオスと戦闘をしておりホームシックにはなっていない

 

ウミツルウシ

半透明の手のひらサイズの可愛らしいウミウシ

植物の蔓のような模様は実は触手で捕食の際は変形して食物を千切るのに使用する

より強い相手に守ってもらうのと実力を詐称するため小さくなったと思われる