(閲覧注意)国王代理の過去

グリムの故郷はある風習を持ち閉鎖的で小さな国であった

俗に言う生贄である。

代々特定の家系の一人が選ばれ全員が心から喜び捧げ(られ)るもので

グリムはその家系の者であったが選ばれなかったことに加え

本人が元から嫌がっていたので虐げられ最終的には国を追い出された

後にも先にも国から出たのはグリム一人だけだがそこは正直なところどうでもいい

移住した国は故郷に比べれば遙かに良い国で

特別金持ちでも人気者でもなかったが

まあそれなりによい暮らしをしていた

ある時親友未満他人以上のサターニアから故郷の国が滅んだことを伝えられる

扱いが扱いだったので悲しんだり怒ったりはせず淡々とそれを受け入れたが

その次のことに愕然とした

何と故郷の国を滅ぼした張本人がグリムの元にやって来るようだ

それは何処の情報か聞くと本人から伝えるよう頼まれたと

そのサターニアは顔を青くしながら答えた

その日の夜グリムは逃げるための支度をしていた

無理もない。故郷を滅ぼした者が自分のところに来ようとしているのだ

殺されるかあるいはもっと凄惨なことをされるだろうという思考に支配されていた

準備が整いさて逃げようとしたとき目の前のドアが開いた

やはり逃げようとしたかという重い声と共に

アルビダ特有の白い肌に光る青い目

深緑のミリタリージャケットと

同色のキャスケットがよく映えるこの存在こそが

「張本人」だとグリムは確信し自分の生を諦めた

翌日、グリムは見知らぬ国の無駄にふかふかなベッドで目が覚めた

身体を起こすと全ては夢だったのだろうかと一瞬だけ思ったがすぐに消しドアを開けると

精霊が何体か自身に視線を向けて起きたことを確認すると奥の扉へ入っていった

不思議に思いながらグリムも入ると玉座に「張本人」が座っていた

しばらくの間沈黙が続くと

無感情な声で単刀直入に側近にならないかとスカウトをされた

グリムはそれを即答で承諾した

殺されないかという不安が晴れたためである

承諾を確認すると早速「張本人」は自身とこの国の情報を与え

何故グリムを選んだかについても語った

知能もそうだが特に能力に目を付けたということを聞いて

グリムはそれをハサマ王のため存分に使うことを決心した

そしてその数十年後

深緑のミリタリージャケットとキャスケットを身につけ

国王代理としてグリムは王の傍に立っている